温泉博物館に入る時、券売機でチケットを買うのだが、普通の入場券だけでなく、足湯にも入れるセット券もあった。
足湯は館内にあるようだ。
もうひとつ、「クア・ガーデン(露天風呂)」とセットになっている券もある。
たしか800円だった。(入場券オンリーだと、たしか400円)
もともと外湯に入るつもりでいたし、露天風呂なら尚のことよいので、「クア・ガーデン(露天風呂)」とのセット券を買う。
ところが、足湯のほうは博物館内にあるから露天風呂も博物館に併設されているのかと思いきや、どこにもその案内がない。
ぜんぜん別の場所にあるようだ。
では、どこなのか?
それがまた、どこにも書いていない。
はいはい、わかりました、自分でGPSで探しますよ。
携帯の地図アプリで検索して、その方向に歩いていく。
ところで、温泉街の中心からやや外れると、けっこう情緒のある町並みになってくる。
惜しむらくは、この下呂温泉は温泉街の中でも車通りが結構あり、浴衣姿でぶらぶら散策…という雰囲気ではないところだ。
さて、地図アプリが示す「クア・ガーデン」の場所に来た。
しかし、「クア・ガーデン」という名前はどこにも書いていない。
ただ、「露天温泉」とは幟がある。
場所はここで間違いなさそうだ。
だが、建物なし。入口もわからない。
目の前の建物にはレストランがあるだけだ。
うろうろ探した。
あっちを見て、こっちを見て…探していると、車が次から次へと走ってきて危ないのだ。
どう考えてもおかしいので、そのレストランで尋ねようと、レストランの扉の前まで行くと、
「クア・ガーデンは反対側の階段を下りたところです」
みたいなことを書いた表示がしてあった。
道から見える所に書いておけ!
無粋な鉄筋の階段を1階まで下りていく。
傾斜地に建てられているので、入ったところが4階で…のようになっているのだ。
で、露天風呂に入る。
露天風呂は、とてもよかった。
木の箱の中に座って入る蒸し風呂がよかった。
さて、後は土産物を買って、昼食とって、帰るだけ。
温泉街を歩いていくと、道の曲がり角に洋館風の建物があり、そこが「白鷺乃湯」。
中で入浴もできるようだが、外の足湯に観光客が座っていた。
その脇に、「日本三名泉発祥之地」との碑。
どうも、ここが町の中心的なポイントらしい。
「白鷺伝説」についても、ここに説明してあった。(いや、ここの手前の碑だったかな?)
どうやら、ふつうの観光客は、とくに案内されなくても、自然とこのあたりを初めに訪れるかのようだ。
そして、「白鷺伝説」など下呂温泉に関する概要を、ここで知る。
しかし、わたしは何故か、いつも「普通の人」とは逆ばかり廻ってしまう。
それが宿命なのだ。
だから、「わからない」「どうなっているんだ」とブツブツ言いながら観光して、最後の最後にやっと「普通の人」のスタート地点にたどり着く破目になってしまう。
山のほうに温泉寺という寺があり、眺望が良いらしいが、なんかもう面倒になって行くのを止めた。
どうせまた迷うだけだろう。
江戸時代の高札場。
土産物を買いに酒屋へ行く。
地酒を買うことに決めていた。
間の悪いことに、大学生たちの集団に一歩遅れて入店することになってしまった。
店では試飲ができるのだが、7~8名の大学生が2種類の酒を、ごちゃごちゃ言いながら試飲し終わるまで、こっちの対応はしてもらえない。
待たされる。
大学生のうち買い物をしたのは2~3名。それも試飲したのと無関係のワンカップなど。
わたしは地酒を2本と地ビールを買うつもりだった。
こっちのほうが上客なんだから、こっちのほうに対応して~(涙)
さて、昼ごはんは「山びこ」へ。
ところが、満席で、順番待ちをしている客も多い。
店の中にすら入れない。
外のベンチで待つ。
下呂温泉に来たのは、この「山びこ」自体がひとつの目的だったのだ。
知人に「きのこがいっぱい」だと教えられたからだ。
なので、どれだけ待たされようと、ここで食べないわけにはいかない。
しかし、こんな人気店とは知らなかった。
長々と待ち、やっと店内で待てるようになる。
わたしの後からも列ができる。
やっと客が掃けてきてテーブルに案内される。
知人からは「きのこ蕎麦」を勧められていたのだが、秋だけの季節限定メニューだった。
この時期の季節限定メニューには「猪豚ナントカ」などがあるが、わたしは躊躇せず「自然薯定食」を注文する。(もちろん、ビールも)
店内奥に、きのこ木彫の展示がしてある。
ちゃんと現実のきのこを忠実に作ったものだ。
じっくり見たいが、店の中がバタバタしているので、あんまり立ち歩くのもどうかと。
やや緩和したとは言え、まだ満員状態。
先ほどの酒屋以来、待たされてばかり。
この時間があれば、温泉寺に行けたなぁ…などと考える。
やがて、自然薯定食が。
おいしい。
自然の素材を使った…という感じで、とても気分がいい。
食べ終わった後、きのこの木彫を。
きのこの話を店の人と話したり、この木彫師さんについてお聴きしたりしたかったのだが、忙しそうにされているので、断念。
そろそろ帰り。
橋を渡って、駅のほうへ。(振り返る)
「山びこ」の「きのこ蕎麦」は、食べてみたいなぁ。
温泉寺も気になる。
しかし、正直言って、下呂温泉にはもう来たくない。
(おわり)
追記
ぶつぶつと文句ばかり書いたが、書き終わってから、「もしかしたら、案内不足なのは、客がガイドブックを持っているのが前提なのか?」と気づいた。
そうなのだ、ガイドブックというものの存在を、すっかり忘れていた。